●或る日電車で
或る日電車に乗った時のこと。
私がアコギを持って電車に乗り込むと、空いてはいたが席は埋まっていた。
こういう時のベストポイントはやはり扉の横のコーナー。
そこにアコギを立てかけたかったのだが、生憎どこも空いてなかった。
目の前のコーナーには一人の男性がいた。
見た目40代~60代、髪は長くオールバックで束ねられていてまるで琢磨仁。
ウエスタン調の服装で、シャツはしっかりジーンズの中。
ちょっと日本人離れしている雰囲気だ。
よく見るとその男性は、コーナーに寄りかかるでもなく直立不動で立っているではないか。
壁から10cm離れたまま、どんなに揺れてもその距離を保っている。
特に外の景色を見る訳でもなく、まるで微動だにしない。
潔癖症で服が汚れるのが嫌なの?
次の駅ですぐ降りるの?
体を鍛えてるだけなの?
だったらそのコーナーじゃなくてもいいんじゃないの?
アコギを置かしてくれーっ!!
結局終点までいたその男性は、勝ち誇ったような足取りで電車を降りていった。